現代においては「飲む点滴」とも称され、冬の自動販売機ではおしること並ぶ和ドリンク不動の横綱である甘酒。
日本書紀巻第十には、
「十九年冬十月戊戌朔、幸吉野宮。時國樔人來朝之、因以醴酒獻于天皇而歌之曰、(後略)」
(引用元:日本書紀について)
の記述があり、この「醴酒(れいしゅ・こさけ)」が、米や麹を混ぜて一晩でつくる甘酒の古い呼び名と言われている。古来より位の高い人も飲むものであったのだ。
さらに、
「近年の研究では、美容に効果があることがわかってきた。」
(引用元:日経ヘルス2017年3月号(日経電子版)」とのこと。
上記記事によれば、優れた栄養補給飲料であるだけでなく、美肌効果や腸内環境改善の効果まで確認されているという。正直なところそれだけならば、記者個人には特に響く情報ではないが、今年に入り麻布地区在勤者から「花粉症に効くらしい」という噂を聞いた。記者は数年おきに花粉症がひどくなることを繰り返しており、今年の2月には外出するたびにくしゃみが止まらない日が続いた。
ああ、今年はダメな年だ。タイミング悪くミーティングや取材の日にそれが発症してしまうと、非常に困る事になることが目に見える。でも、薬や手術に頼るのはイヤなので、外出時にはマスクを常用するようになったのだが、やはり根本的な解決にはならない。それが本当に甘酒で改善するのなら悪い話しではないが、問題は「毎日飲んだら結構お金が掛かりませんか?」ということ。だが、日経ヘルスの記事を読むと、それが自作出来るという。でも、お酒って自分で作っちゃだめなんじゃないの?
それも心配無用。アルコールを含まず子供でも飲める甘酒の作り方があるのだ。ノンアルコールなのに酒とは不思議だが、米麹と米と水だけでつくる甘酒ならばアルコールは出来ないのだという。米麹なんてドコに売っているんだ?と思ったものの、すぐ思い出した。スーパーに行くと漬け物を売っているコーナーで目にしていた、白いカビカビの平たいご飯らしきものがビニール袋に入っているアレだ。漬け物や味噌を自作する時に使うとばかり思っていたのだが、甘酒も作れるとは知らなんだ。
上記の日経ヘルスにも作り方は載っているが、炊飯器で7~10時間保温するらしい。いや、炊飯器をそれだけの時間使われてしまっては困る。ご飯も食べたいぞ。
そこでネットで色々なレシピを検索して、我が家がたどり着いたのは保温調理鍋を使う方法。我が家には、東日本大震災後に時短かつ節約にもなるということで購入したサーモスのシャトルシェフがある。実際に日々の料理で非常に重宝しているが、まさか甘酒づくりにも役立とうとは。

レシピは、近所のスーパーで手に入った「みやここうじ200g」から決めた次の通り。
1.材料を用意する。米:麹:水=1:1:3=200g:200g:600g
(キッチンスケールが無い場合は「1合:200g:3合」でも可)
2.鍋に「米と水」を入れて、沸騰したら中火で5分程度煮る。
3.シャトルシェフに入れて30分間保温してお粥を作る。
4.お粥を60度まで冷まし、ほぐした麹を投入してかき混ぜる。
5. 時々温度を測りつつ再加熱し60〜65度※で火を止める。
6.再びシャトルシェフに入れて4時間保温する。
7.再度60度※まで慎重に加熱。
8.改めてシャトルシェフに入れて4時間経ったら甘酒の完成。
9.口当たりが気になる場合は、バーミックスなどでグワーっと破砕すると滑らかになる。(最上部の写真)
※この60度というのが肝心。それ以上に加熱してしまうと、デンプンを糖化させる酵素が効かなくなってしまうため、料理用温度計でしっかりと管理する必要がある。
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もちろんそのまま飲んでも良いが、上記レシピ通りだとヨーグルト状に出来るので、スプーンですくって食べる感じだ。少しお湯で割ると飲みやすいが、いずれにしても一度に飲みきる量ではないので、煮沸消毒したジャムの瓶などに入れ替えて、粗熱をとってから冷蔵庫に入れよう。そうすれば1週間は保存可能。

で、お味とその効果はいかに?
まず、味の方はと言えば、やさしい甘さで非常においしい。上記のレシピだとやや固めに出来るので、我が家では大人はショウガをすったショウガ湯で割って飲み、小学生の子供はヨーグルトのようにスプーンですくって食べている。
肝心の花粉症だが、飲み始めて割合すぐに軽減された。元々、日によって症状の出方に波がある体質なので、そのせいもあるのかもしれないが、3月第2週から3週間ほど飲み続けて、うっかり作り忘れた4月第1週。鼻水が出る上、目もかゆい。失って初めてわかることがあるというが、どうやら私にとって甘酒は、花粉症の軽減に効果があるのかもしれない。(個人の感想です)
そんな事を思っていると、今月4日Twitter上で「ヒノキ花粉が去年の428倍」との衝撃的ニュースが飛び込んで来た。最近、麻布地区にある弊社の階段が少々砂っぽいと感じていたが、もしかしてあれはヒノキ花粉なのだろうか?東京都健康安全研究センターが発表した八王子市のデータを元に出した数字のようだが、データの扱い方次第では異なる数値となる可能性もあるようで、昨日になって日本気象協会が
「都心で3月中に計測されたヒノキ花粉の量が昨シーズンの同月と比べ43・6倍にのぼった」
(引用元:産経ニュース)
ことを明らかにした。安心安心。って、やっぱり43倍もあるんですか!
さっそく甘酒による花粉症対策を再開せねばなるまい。
でも、手作りは苦手という人や一人暮らしで大量に造っても悪くしてしまうという人は、手っ取り早く購入するのも良いだろう。
幸いにして麻布十番商店街には、昨秋オープンしたばかりの「千年こうじや」がある。魚沼の酒造「八海山」が立ち上げたブランドで、麹だけでつくったあまさけのほかにも様々な発酵食品を販売している。もし重い荷物が気になるならば、通信販売で購入するのも良案。
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森永などの大手メーカーの甘酒であれば、まずはスーパーやコンビニで少量買って気に入ったものを楽天市場でまとめ買いというのも便利で確実だ。
スギ花粉の飛散が収まって一息つくのも束の間、ヒノキ花粉は今が本番。その次にはイネ科やブタクサなど次々と襲い来る。目を閉じ鼻を塞いで生きられない以上は、腸内環境を整えるなり、何らかの方法で免疫力を上げて備えたい。
〜2019年2月27日現在、上記記事を配信してから1年近く経過したが、実はまだ甘酒を毎日飲み続けている。もちろん紹介した自作の甘酒をだ。その甲斐あってか、花粉症を感じさせる体の変化は非常に少なくなっている。起床時に少し目がかゆかったり、多少の鼻水が出るなどのことはあるが、外出の度にくしゃみが止まらなくなるといったことは無い。これは果たして甘酒の効果か、あるいは個人的な体調の波によるものなのかは不明だが、万策尽きた方は試してみる価値があるだろう。
みやここうじ200gを使用して作った甘酒は、おおよそ2週間ほどで飲み終えているが、家族が多い方などはもう少し多めに作りたいかもしれない。そんな時は麻布地区から足を伸ばして、三田に彗星のごとく現れたスーパー「サミット」に行くと良い。2階中央部に500g入りの袋を見つけられるだろう。
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